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2009年1月 6日 (火)

裁判員制度と企業の労務管理

2009年がスタート致しました。本年も宜しくお願い致します。

裁判員制度が本年5月から実施されます。

http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/index.html

自社の社員が裁判員に選任された場合、会社として労務管理上どのような対応が必要か、特別な休暇制度を設ける必要があるのかなど、色々お悩みの担当者も多いことかと存じます。

社員が裁判員に選任されその職務を行うための時間」について労働基準法ではどのように考えればよいのでしょうか。

答えは労働基準法第7条本文「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない」のとおりです。

つまり、社員が裁判員に選任され、そのために必要な時間を請求した場合には、会社は例えば仕事が忙しいからといって、それを拒むことはできないということになります。

とすると社員が裁判員としての職務を行うためには、通常の勤務日(又は勤務j時間)について休みをとって行かなければならず、その時の賃金をどうするのかという問題があります。

労働基準法第7条の「公の職務を執行するために必要な時間」については、「必要な時間」を拒むことはできませんが、その「必要な時間」について賃金まで払いなさいとは言っておりません。

労働基準法の基本的な考え方の中に「ノー・ワーク・ノー・ペイ」といものがあります。そもそも労働の対価としての賃金な訳ですから、会社の業務と何ら関係のない「裁判員としての職務を執行する時間」についてまで会社が賃金を保証する必要はないということになります。

労働基準法は会社が最低限守らなければならないルールです。

従いまして、裁判員制度のための特別な休暇を設け、それを有給としても構いません。もちろん休暇のみで無給としても違法とは言えません。

或いは、社員が年次有給休暇として請求をしてくることもあるでしょう。会社によっては変形労働時間制によるシフト勤務を行っている場合で、ある社員が裁判員に選任されてシフトを変更せざるを得ない場合だって考えられます。

最近各種出回り始めた裁判員制度関連の書物によると、新たな制度を設けたり就業規則を変更したりする予定の会社の割合と現行規則のままで行くという会社の割合にそれ程大きな差がないようです。

もし、御社の就業規則に労働基準法7条に類する規定がないとしても、そもそも労働基準法では、会社に決まりがないものは労働基準法の定めるところによる決まりですから、まったく何もしないという方法も考えられますが、既述のような色々なケースが想定されますので必ずしもそれが得策とは言えません。

やはり、裁判員制度をよく理解し、各会社の実情に合わせて対応マニュアルを作成したり、場合によっては就業規則などの変更も検討されては如何でしょうか。

蛇足ですが、昔、社会科の授業で日本は三審制である事を学びました。たくさんの時間やコストをかけ裁判員制度を実施し、その結果として一審の判決が出たとしても、不服があれば二審、三審がある訳です。そこに裁判員はいません。

2003年小泉内閣の規制緩和政策の一環で外弁法の改正もありました。

さらに司法試験制度改革の影響で弁護士先生の数が激増するとも言われております。もしかすると裁判員制度というものは、広く国民に対し、法律や司法制度への関心を喚起する狙いもあるのかもしれません。

関連記事(Wikipedia)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E8%B3%87%E7%B3%BB%E6%B3%95%E5%BE%8B%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80

2008年9月10日 (水)

名ばかり管理職・・・その後

昨日、厚生労働省は、多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者に限って、適正な管理監督者と判断するための具体的な要素について通達しました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf

広告主を抱えバイアスがかかりがちな報道機関が伝えるニュースの内容は、漠然としていて分かりずらいのですが、噛み砕いてみると以下のように言えるのではないでしょうか。

アルバイトさんやパートさんが多いコンビニエンス・ストア、○丼チェーン店、ファストフードチェーン店などの店長さん又はマネージャーさんに限っては、以下の3つの項目の各要素を更に具体的に定め、総合的にみて法律で認めている管理監督者(残業手当等を払う必要のない社員)かどうか判断しましょうというものです。

法律が要請する適正な管理監督者の3つの項目は、

① 職務の内容・責任・権限

② 勤務態様

③ 賃金等の待遇

です。

今回の通達では、従来から判断の要素とされていた上記の項目について、下記のとおりより具体的に幾つかの要素に細分化したのです。

①の職務の内容・責任・権限については、店長さんにアルバイトさんやパートさんを採用したり、解雇したり、人事考課を行ったり、勤務割表を作ったりすることを任せているのかどうか。

②の勤務態様については、店長さんが遅刻したり、早退したりしたとき、給与を減額されるかどうか。

③賃金等の待遇については、店長さんの毎月の給料を時給換算した場合に、アルバイトさんやパートさんの時給を上回っているのかどうか。

考えようによっては、店長さんに①のような仕事も手伝ってもらい、業務に支障を来たさない限り店長さんの遅刻や早退に目をつぶり、最低限パートさんやアルバイトさんよりも高い賃金を払えば管理監督者として認めてもらえる可能性が高いということも言えます。

企業の実務担当者としましては、今回の通達が「多店舗展開する小売業、飲食業の店舗の管理監督者」に限ったものと理解することなく、そもそも経営側としての責任と権限また労働時間の管理を受けず、残業手当を払わなくても十分な待遇とは何かという本質に立ち返って社内の仕組みを点検されては如何でしょうか。

2008年3月19日 (水)

労働契約法(その2)

昨日午後から、北海道労働局主催の「労働契約法等説明会」に行って参りました。講師は道労働基準部監督課設定改善指導官の山川氏でした。

先月中旬に北海道社会保険労務士会主催で札幌東労働基準監督署次長の加藤氏が講師を努めた同様の趣旨の研修会にも参加したばかりでした。

実はいずれの研修を受ける以前に、必要と思われる企業様には、ネットや書籍で調べた情報を元に法改正のご案内・ご説明は終わっておりましたが、重要な法改正ですので、漏れがないか、また補完すべき箇所はないかと思っての参加でした。

前者は一般企業実務担当者向け、後者は社労士向けの研修会でした。

社労士向け研修会では、専門家相手ということで、基本は分かっていることが前提のお話しだったように思います。

一方、昨日の研修会は、各都道府県労働局長あての27ページにわたる通達、17ページにわたる参考となる裁判例など資料も盛りだくさんで、そもそも労働契約がどういう契約なのか原理原則に立ち返ってお話しされていたように思います。

法の趣旨を理解し、その運用に関するアドバイスをさせて頂くにあたり、行政サイドがどのようなことを企業に求めているかということを確認し、細かな点で新たに気付くことができまして有意義な時間となりました。

ざーっと会場を見渡しまして、顔見知りの社労士の方はいらっしゃいませんでした。同じ内容の研修を2回受けるもの好きはあまりいないのかもしれません。また、その企業様向け研修自体が先月に続く2回目だった(前回申込みが遅れ定員で参加できず)ので、そちらに出られておられたのかもしれません。

いずれにしましても昨日の午後は自戒を込めて「知ったつもりになっていることを知った時間」だったと思います。

2008年1月31日 (木)

マクドナルド東京地裁判決

一昨日、マクドナルドに対し、店長(管理職)に750万円の残業代支払い命ずる判決が東京地裁で言い渡されました。

企業実務へ及ぼすインパクトはかなり大きいものであると思われます。

労働法(判例)の要請する管理職の3要件は、相応しい処遇(賃金)、経営側としての権限、勤務等の裁量権とされておりますが、明確な線引きがある訳ではありません。

例えば、A社で管理職に45万円、一般職に20万円、B社で管理職に20万円、一般職に12万円を払っていた場合、同じ20万円というお金の価値が、権限や裁量権を無視して単に相応しい処遇という観点から考えますと全く別な意味を持つ事になります。

労働法の世界では似たような事が散見されます。

例えば育児介護休業法が要請する短時間措置についてですが、合法的な週44時間勤務の会社において4時間の勤務時間の短縮措置を図ることと、週40時間の会社で4時間の勤務時間の短縮措置を図ることは、同法趣旨に限っては合法といえます。

けれども育児や介護のための短時間勤務という本質的な問題を考えたならば、もう少し異なった仕組みにする必要があろうことはご理解頂けると思います。(育児介護休業の取得率は一向に上がっていないという別の問題もありますが・・・)

日本経済の先行きは不透明であり、縮小傾向にあると言われております。

輸出産業が牽引して企業業績は好調を維持していると聞きますが、一方で多くの中小企業では従業員さんの賃金の引き上げもままならない現状があります。

今回の判決は、労基法41条の解釈という点で「実質的な賃上げ圧力」というパンドラの箱に手をかけられてしまったという印象を受けるものだと思います。

企業の規模や業種も多種多様、働き方も多様化している現状を考えますと画一的な法律や条文、また判例等を根拠に秩序を維持しようとすることにそもそも無理があるように思います。

もっと決め細やかな法整備が望まれます。